天皇の生前退位により2019年をもって「平成のおわり」が確実となり、新元号制定の準備が進められている。「改元のプロセス」とは、どのようなものなのか。
「平成が制定されたときの手順を引き継いでいると考えれば、候補はすでにいくつかに絞り込まれているでしょう」(元号に詳しい東京大学特任助教の鈴木洋仁氏)
元内閣官房副長官・的場順三氏の証言から「平成」制定のプロセスを振り返りつつ、今回の選定について見ていこう。
●候補案を考える「考案者」を総理大臣が選定
まずは、候補案を練る専門家の選定から始まる。平成を制定するとき、「考案者」を把握していたのは総理大臣、官房長官などといった限られた人物のみ。
「天皇陛下が健在のうちに“崩御の準備”をしていることが公になれば不敬との批判を避けられない。そのため、私が専門家に新元号考案をお願いした際には、部下を連れず一人で九州や京都に出向き、直談判しました」(的場氏)