中国の習近平国家主席が「千年の大計」と銘打って、自ら号令をかけて進めている大型国家プロジェクト「雄安新区」をめぐる論争が勃発した。建設計画を協議している専門家会議で、計画予定地の方角や地形、水の流れや風の向きなど、中国伝統の占いの一種でもある風水論争が大真面目に展開されているのだ。ネット上では「風水なんて迷信」との声がある一方、「風水は中国伝統の思想でもあり、取り入れるべきだ」との風水支持の書き込みも見られる。
雄安新区は北京に隣接する河北省の広大な土地に最終的に2000平方kmもの副都心を建設し、今後20年間の投資額は4兆元(約64兆円)規模に上る巨大プロジェクト。
新区の開発決定1カ月ほど前の今年2月に、習氏自らが建設予定地に足を運び、建設主体機関らの最高幹部と綿密な打ち合わせを行っている。2月といえば、厳寒の時期だけに、習氏の新区建設への思い入れの強さを表している。
このため、専門家会議も中国で超一流の建築家や設計師、国有企業関係者らが集まっている。最高責任者には中国工程院院長で、上海市長も務めた徐匡迪氏。
北京紙「新京報」によると、その徐氏は6月中旬の専門家会議の冒頭、「写真や録音はダメ」と断ったうえで、切り出したのが「雄安新区は風水的に見ると、非常に好立地だ」と風水を持ち出したため、会議参加者のなかには唖然とした表情を見せる者もいるほどだったという。
風水は古代中国の思想で、都市、住居、建物、墓などの位置の吉凶禍福を占い、現代では空気や水の流れや方角など建物を建てる際の判断基準にしている。