住み慣れた我が家から旅立ちたい──そう願う人は5割に上る(内閣府調査)が、現実には亡くなる人の8割が病院や診療所などで死を迎えている(厚労省調べ)。在宅死は贅沢な望みなのか。
「決してそんなことはありません。一人暮らしでも、認知症であっても、家で最期を迎えることはできます」
そう話すのは、1000人以上の在宅看取りをしてきた小笠原文雄医師(日本在宅ホスピス協会会長)だ。
小笠原医師が上梓した新刊『なんとめでたいご臨終』には、死を迎える人や見送った家族、そして在宅医療チームが集まってピースする“記念写真”が多数掲載されている。
「ピースサインなんて不謹慎だと非難する方もいますが、それは部外者の見方。最期までこの家で暮らしたいという願いがかなうと、本人も家族も笑顔になれるのです」(小笠原医師)
病院であれば、こんな写真はありえない。末期がん患者にも最期まで抗がん剤を打ち、心肺が停止すれば心肺蘇生して人工呼吸器につなぐことが多いからだ。回復の見込みのある人には必要な措置だが、管だらけにされて迎える最期は御免だと思う人は多いはずだ。