近畿大学(大阪)が、世界初の本マグロ完全養殖に成功してから15年。今や「近大マグロ」は、漁業界の一大ブランドとなっている。その立役者として知られるのが、同プロジェクトの中心メンバーであり、2011年から2015年まで近大水産研究所の所長を務めた宮下盛氏である。すでに同氏は2015年、急性心筋梗塞によって72歳でこの世を去っているのだが、故人となった宮下氏に今、ある“疑い”がかけられている。
長崎県で養殖用飼料添加剤を製造・販売する株式会社トーワの代表取締役社長・森永ノリ子氏がいう。
「弊社が独自に開発した魚用の生菌製剤のデータを宮下氏らが盗用した疑いがあるのです。私は真相を明らかにすべく、宮下氏と、宮下氏と弊社を仲介した企業の代表取締役A氏を被告訴人として、大阪府警に告訴状を送りました。彼らの行為は不正競争防止法違反に当たると考えています」
穏やかではない話だが、何があったというのか。森永氏が続ける。