毎日の空模様が気になる季節、それだけにお天気キャスターの存在は大きい。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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「人気高まる“お天気おじさん”」。そんな見出しが目に飛び込んできました。オリコンが発表した「第13回好きなお天気キャスターランキング 総合トップ10」に異変が生じているらしい。
ランキングを見てみると、ベスト10内に入った女性キャスターは阿部華也子(6位)、井田寛子(10位)のたった2人。その他はたしかにお天気「おじさん」がズラリ、並んでいるではありませんか。
1位は天達武史。「とくダネ!」(フジ系)の「アマタツー!」の方。2位は木原実、3位は依田司、4位は蓬莱大介、5位は森田正光。ここまでに女性の姿はゼロ。時代の変化を映し出しているのでしょうか?
しかし、私は納得できない。10位までの結果を見て「冗談じゃない~!」と叫んでしまった。「なぜ、あの人が入っていないの?」と。梅雨のじめじめした季候の中、あの人が伝えてくれる前線の位置や高気圧の動きこそが、一陣の爽やかな風になる。そう信じてやまない。
その人とは、NHK『ニュースウォッチ9』で天気予報を担当する斉田季実治(さいたきみはる)さん。
斉田さんの物腰は、淡々としてクール。物静か。ちょっと抑え目。一歩控え目。「自分が、自分が」という主張を感じさせない。何と言っても、その「過剰ではない」ところが、いい。冷静沈着、きっちりと落ち着いた口調。さすが、報道記者出身だけあります。
でも、堅物ではない。ふと垣間見せる、遊び心。例えば、季節感に敏感なファッションセンス。堅苦しくなる背広はほとんど着ない。ジャケットとシャツ、パンツ、ネクタイを丁寧にコーディネートしています。
少し丸くなってきたお顔ですが、『ニュースウォッチ9』のメンバーになった頃から上手に体重を絞り体型をコントロールしてきている。そうした的確な自己演出も、遊び心あってこそ。客観的に自分を見つめている余裕を感じます。
真面目で冷静。だからこそ、時折見せる「ハズす」瞬間が、実にオチャメ。さらりと「冗談」をやってのける。先週の天気予報コーナーでは大きく両手を広げて、自分自身が「梅雨前線」となってみせた。そのボディーパフォーマンスに、桑子真帆キャスターは笑い転げていました。