毎日1~2時間の寝不足が借金のように積み重なり、やがて“債務超過”に陥ると、がん、認知症などをはじめとする重大な疾病を発症させる。それが「睡眠負債」だ。もともとは米国の睡眠科学の専門家が「Sleep Debt」という用語を提唱し、この用語を日本語に訳したのだ。
6月18日に放送された『NHKスペシャル』でも〈睡眠負債が危ない~“ちょっと寝不足”が命を縮める~〉と題してこの問題を大きく取り上げ、話題を呼んでいる。
自覚症状がないまま積み重なってしまった“負債”をチェックする方法として、『Nスぺ』では、「外の光を完全に遮断した部屋で、時計やスマホなど時刻の分かるものを取り除いた状態を作って眠りに就き、睡眠時間が普段とどれくらい変わるかを調べる」というやり方が紹介された。
番組では被験者30人全員が普段よりも睡眠時間が長くなる結果になり、なかにはいつもより5時間も長く寝てしまった被験者もいた。その上で、このやり方で「いつもより2時間以上睡眠が長くなる人は、睡眠負債を抱えている」と結論づけられた。調査方法を監修した国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の北村真吾・臨床病態生理研究室室長はこういう。