3月のワールドベースボールクラシック(WBC)では、日本の4番として全試合出場を果たしたDeNAの筒香嘉智が、いよいよ復活しようとしている。WBCでの球質の違いや普段と異なるタイプの投手と対戦したためか、はたまた疲労が蓄積していたのか、開幕から約1か月間ホームランが出ず、5月終了時点で打率2割6分1厘、4本塁打、21打点と調子が上がらなかった。しかし、6月に入ってからは、月間打率3割1分3厘、4本塁打、15打点(6月25日現在。成績は以下同)と完全に復調した。野球担当記者が話す。
「本調子でない時期でも、ボール球に手を出さず、四球を選んでチャンスを拡大。また、一昨年の春季キャンプで当時の中畑清監督が呼んだ松井秀喜氏のアドバイス通りに、打てなくても泰然自若としていたのが印象に残っています。調子の良い時も悪い時も態度を変えず“不動心”でいたことが、現在の好調につながっているのではないでしょうか」
そしていよいよ、例年、筒香が得意とする7月を迎えることになる。昨年は打率4割2分9厘と驚異的なアベレージを残し、日本人歴代最多タイとなる月間16本塁打を放ち、文句なしの月間MVPに輝いた。2015年も3割5分1厘、2014年も3割9厘とレギュラーに定着して以降、毎年打率3割以上を残している。
「特に今年は期待できると思いますよ。5番に現在首位打者を争っている宮崎敏郎がどっしり座っている。昨年まで主に5番を務めたロペスは好不調の波が激しかったが、宮崎は安定している。筒香が4、5月の不調時にむやみにボール球に手を出すことのなかった要因の1つに、好調を維持した宮崎の存在が挙げられると思います」(同前)
筒香の復調により、6月のDeNAは19試合中10試合で5得点以上を上げ、既に今季もっとも多くの得点を叩き出した月となっている。
「筒香が本調子でなかった5月までを借金2で乗り切ったところに、チーム力の底上げが感じられます。7月、筒香が爆発すれば、首位を走る広島にとって脅威になるでしょう」(同前)
撮影■山崎力夫