文字は人の心や人柄を映し出すもの。憲政記念館に所蔵される平成総理の揮毫を、女流書道家・成田眞澄氏が講評した。
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歴代の総理大臣の書だけあり、皆さん個性的で味わい深く、選定作業は苦労しました。書は「心を映し出す鏡」であり、日本の大切な伝統文化のひとつです。
心を込めて書かれた文字には、書き手の性格が如実に表れます。たとえば小泉総理のように大きな文字を書く人は、豪快でサッパリした性格の人が多い。一方で、福田総理のように小さな文字の人は気が小さく、何事も無難にまとめようとする傾向があります。
あまりにも下手な文字は頼りなさを感じ、見る人を不安な気持ちにさせます。
平成以前の歴代総理には達筆な人が多くいました。パソコンが普及し、文字を書く機会が少なくなった今だからこそ、一国の総理には人間的な魅力が伝わる美しい文字を書いていただきたいです。
【悪筆第一位】野田佳彦「正心誠意」(せいしんせいい)
個人的に好きな方なのですが、残念ながら書に関しては小学生レベル。心を込めて筆を運んでいますが、「心」の2画目と「正」の3画目が下を向いてしまい頼りなさそうな印象になっています。日本の伝統文化のひとつである「書道」にもう少し努力をしてほしいですね。
【悪筆第二位】菅直人「草志」(そうし)
力強い筆遣いで書かれていますが、この作品はちょっと上手な小学生レベルです。芸術性と面白みがありません。また、「草志」は楷書で書いているのに、書き慣れた自分の名前は大胆な崩し文字となっていて、作品としてアンバランスになっています。
【悪筆第三位】福田康夫「自立共生」(じりつきょうせい)
福田さんの作品は書としては整っており、筆はしっかり動いています。きっと書を学んだことがあるのでしょう。ただ、明暗や変化がなく、単調で個性がありません。また、文字に感情が表れていないことから、他人に感情を伝えることが苦手な方なのだと思います。