「なんとなくやる気が起きない」「すぐにイライラする」「寝ても疲れが取れない」「朝の様子が違う」……そんな悩みや不調を感じても「年だからしょうがない」と自分を納得させているシニア男性は少なくない。だが、それらの原因は「男性更年期障害」かもしれない。
「日本人男性のうち約600万人が潜在的に更年期障害になっていると考えられます」
そう話すのは、医療法人翠奏会・脇坂クリニック大阪の脇坂長興院長である。
「女性の場合、平均約50歳で迎える閉経に向けて、40代後半から急激に女性ホルモンの量が減る。なので更年期障害はこの時期に集中します。
一方、男性は特定の時期にホルモン量が減るわけではないので、症状が出るタイミングに個人差が大きい。40~60代に多いと思われますが、70代、80代の方もいる。そのため更年期障害と認識されず、見落とされていることが多いのです」
代表的な男性ホルモンであるテストステロンは精巣(睾丸)で作られ、性欲を高める、筋肉や骨格をつくる、活力を増すなどの働きをする。しかし分泌量は20代をピークに徐々に減り、重度のストレスがかかるとさらに低下する。その影響で男性更年期障害が引き起こされる。
症状としては、「眠れない」「動悸がする」「汗をかきやすくなった」「倦怠感」などで、女性の更年期障害と共通する特徴が多いが、男性更年期外来を設ける医療法人社団医新会の横山博美理事長はこう話す。