鳩山氏は、日本と異なる価値観の中国などと共存共栄を目指す「友愛外交」と、日中韓を中心とする「東アジア共同体構想」を掲げてきた。首相退陣後も、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立にエールを送り、「顧問」に就任。最近も中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」についての国際フォーラムで講演し、「私は『一帯一路』の熱烈な支持者だ。日本もAIIBに参加すべきだと思っている」と語った。
安倍氏もその支持層も、AIIBには批判的だった。ところが最近になって安倍氏は「公正なガバナンスが確立できるのかなどの疑問点が解消されれば(AIIB参加を)前向きに考える」と発言。6月には、一帯一路にも条件付きで協力する姿勢を示した。
なぜ“宗旨替え”したのか。キーマンと目されているのが、安倍氏の右腕として知られる今井尚哉・首相秘書官だ。5月には親中派の二階俊博・幹事長に同行して訪中。首相以外の外遊に首相秘書官が随行するなど、超異例だ。額賀派議員が語る。
「今井秘書官は、今井敬・元経団連会長と今井善衛・元通産事務次官の2人から見て甥っ子で、本人も経産官僚であり、中国とビジネスを続けたい経団連の意向がバックにある。総理は、そんな今井秘書官から“中国と関係改善すべき”と強く進言されたのではないか。最近は、総理自身が訪中する気になっているらしい」
加計疑惑などに追われる中、首相が周囲に押されて外交面で信念を貫けなくなっているという見方だ。