完全復活にはまだまだかかるようだ。開幕わずか8試合で左太もも肉離れにより戦線を離脱した日本ハムの大谷翔平(22)。6月下旬にようやく一軍登録されてからも代打起用が続き、昨シーズンのような「二刀流」の大車輪の活躍は見られそうにない。
「現状では、成績不振のチームが頼みにする“客寄せパンダ”です。大谷をベンチに置いて出場の可能性をチラつかせることで、球場に足を運んでもらおうとしているのではないか。オールスター戦のファン投票結果でもわかるように、ファンはとにかく大谷が見たいわけですから」(スポーツ紙デスク)
そんな中途半端な状態にもかかわらず、「今オフの移籍が有力視されるメジャー球団の評価は、むしろ上がっている」と指摘するのはメジャーリーグ研究家の福島良一氏だ。
「大谷の素質の素晴らしさはすでに各球団の知るところ。ケガを完治させることが前提ですが、仮に今シーズン1球も投げなくても評価が落ちたりはしないでしょう。むしろ“酷使されずに休養できた”とプラス評価になるのではないか。メジャーでは、前年に日本でフル稼働した選手は移籍1年目に実力が発揮できないという考えが根強くある」
1995年にドジャースへ移籍した野茂英雄の例はわかりやすい。近鉄での最後のシーズン(1994年)は首脳陣との確執のため17試合、114イニング登板にとどまったが、メジャー1年目は13勝で新人王を獲得している。
「2001年にマリナーズに移籍したイチローも、オリックスにいた前年は8月に右脇腹を痛めて出場は105試合。それで移籍1年目はシーズン242安打です。逆に、ヤンキースへの移籍前年に24勝0敗という驚異の活躍を見せた田中将大は、渡米1年目に右肘靱帯を部分断裂した。大谷の場合、今のケガが投手にとってリスクの大きい肩や肘の故障ではないこともプラスに捉えられるでしょう」(福島氏)