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格闘家逮捕の傷害致死事件 業界の復活ムードに水差す懸念も

得意技は膝蹴りだった。参戦していたIGF公式HPより。

 自民党が大敗した東京都議会選挙のニュースで報道が埋め尽くされているすき間に、残念な知らせが届いた。6月30日未明に、プロの総合格闘家としても活動するスポーツトレーナーから、顔を蹴られるなどして意識不明だった男性が、7月1日に亡くなったというものだった。この知らせに、総合格闘技関係者の誰もが暗い気持ちを隠さない。

「世間的に彼の名前は知られていないでしょう。でも、肩書きだけは印象に残る。現役の総合格闘家が人を蹴り、死なせてしまった。格闘技ブームが去って以来、沈みきっていた総合格闘技がようやく少し盛り返してきたところだったのに、残念です」(格闘技ライター)

 男性の顔などを蹴るなどして傷害致死容疑で逮捕されたのは、約10年前から総合格闘家として活動している山本勇気容疑者(29)。きっかけは、交際相手の女性が勤務先の飲食店から、かなり酔っ払って帰宅したことだった。あらかじめあまり酒を飲ませないでほしいと店側に頼んでいた約束が守られなかったと腹を立て、店のスタッフ男性に対し自宅マンション前で顔を蹴り壁や床に打ちつけるなどした。意識不明になったのを見てみずから119番した山本容疑者は「カッとなってやった」と話しているという。

 この逮捕を受けて、7月23日に出場予定だった総合格闘技のプロ修斗後楽園大会で予定されていた試合中止と、山本のプロ修斗ライセンス停止が発表された。

 容疑者の名前を聞いてもピンとこないかもしれないが、2014年の大晦日『INOKI BOM-BA-YE2014』で青木真也(34)に敗れた選手といわれると、思い浮かぶかもしれない。柔道で日本代表候補になったこともある青木に対し、立ち技が得意な山本がチャレンジする試合だったが、試合開始から終始、青木が圧倒的な力の差を見せつけ有効打を打たせなかった。そして、1分21秒に首を絞められた山本がタップして試合が終わった。

 その直後、青木が横たわる山本に中指を立てて悪態をついたことをきっかけに、激高した山本が青木につかみかかろうとしてしばらくもみ合う場面が続いた。この様子は2015年1月3日深夜にフジテレビで放送されたので、正月休みにそれを観た記憶がある人もいるだろう。

「青木の態度は、決して褒められたものではないですよ。だからといって、試合でいいところが全然なかったのに、試合後にごねることだけ一人前にしようとする山本も褒められたものではない。やっぱり『THE OUTSIDER』に出てた選手らしいなと思いました。コンセプト通り不良が出やすい大会だったこともあるだろうけど、彼が出場した頃は、試合よりもその後の乱闘ばかりが話題になっているような状態だった」(スポーツ新聞格闘技担当)

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