「ん、今日は『プレジデント』の取材だっけ? あっ、『週刊ポスト』の密着か! はっはっは」
人なつっこい表情で場を和ませ、たちまち笑いの渦に巻き込む。その声の主は、似鳥昭雄(73)。「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズでおなじみの家具小売り最大手・ニトリの創業者であり、現在は会長を務める。
彼のユニークな人柄が広く世に知られるきっかけは、2015年春に連載された日本経済新聞の『私の履歴書』だった。当時社長だった似鳥は、「校長にヤミ米を1俵届けて高校に補欠合格」「大学教授を尾行して行きつけの飲み屋を突き止め、奥さんへのアリバイ作りに一役買って単位を取得」など、企業トップのイメージとはほど遠いエピソードをあっけらかんと晒して、「面白すぎる!」と大きな反響を呼んだ。
「落ちこぼれの私でも、ロマンとビジョンを持って突き進むことで、こうして成功できた。実社会では学歴や出来だけが、すべてではない。やればできるぞというメッセージを伝えたい」
そう語る似鳥だが、入社式でも新入社員に「私は高校を裏口入学、大学は替え玉受験。カンニングで騙して卒業してもいいんです」と熱弁する姿を見ると、さすがにひやひやしてしまう。