相撲ブームが沸騰している。「謎のスー女」こと尾崎しのぶ氏が、現在相撲コラムを週刊ポストで執筆中。今回は、元小結・大豊の荒汐部屋の力士たちについて尾崎氏が綴る。
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二〇一三年七月場所。八百長に関与したとして協会から解雇されたのは不当である、と法廷で争っていた蒼国来が、二年かかって解雇無効の判決を勝ち取り、処分前の順席に基づいた西前頭十五枚目に復帰した。
その場所後の相撲ファンの食事会で私は、幕下で全勝優勝した荒汐部屋の剛士には以前から目を付けていたのだ、と自慢したく「蒼国来が戻ってこられた影響でしょうかね、下の子達もめちゃくちゃパワフルですよ!」と胸を張った。くわしいね、と言われ「あの子は小結の若葉山の孫なんですよ」と調子にのった。
すると、北の富士と同じ歳(一九四二年生まれ)の大先輩に「若葉山、懐かしい! 双葉のとこの、足が器用だった人だ、けっこう好きだったな」と微笑まれた。伸ばした鼻がポキリと折れたが恥ずかしくはなく、むしろ気持ちがよかった。一幕下力士の話から始まったのに、伝説の双葉山が少し身近に感じられたから。