医療界には、普通の人々が容易にはアクセスできない「特別な世界」が存在する。その医療サービスとはどんなものなのだろうか。
エレベーターで上層階まで上がったフロアは、階下までの一般の診察フロアとは明らかに雰囲気が違った。快適な温度と湿度が保たれたラウンジには、ジョアン・ミロの本物の絵画が並ぶ。診察室には、医師よりも患者側のほうに重厚感がある革張りの椅子が置かれている。予約制のため診察の待ち時間もなくストレスフリー。医療機器を除けばその様子は高級ホテルのフロアを彷彿とさせる。
ここを訪れることができるのは、入会金200万円と年会費50万円を支払った会員のみ──。
これは警備サービス大手のセコムが展開する「セコム健康くらぶKENKO」(東京・新宿区)。セコムが医療法人社団あんしん会と提携して設立した高級会員制健康管理クラブだ。これほど高額にもかかわらず、2005年5月の開設以来、順調に会員数を伸ばし、現在約800名が入会しているという。200万円超を払って受ける人間ドックとはどんなものなのか。