かつて私と加藤紘一、小泉純一郎の3人はYKKと呼ばれましたが、私は中曽根(康弘)さんの流れを汲む改憲派で、加藤さんは大平(正芳)さんの流れを汲む改正反対派と、思想や政策はまったく違っていました。党内の派閥間で政権交代するのもそうですが、自民党は政策にしろ理念にしろ、“振り子の原理”でやってきたのです。
ところが、いまはオール保守化してリベラル勢がいなくなった。そもそも理念がないし、いまの国会議員は知的レベルも下がってきている。稲田防衛相が、応援演説で「自衛隊が応援している」などと口にしてしまうセンスには絶句するほかない。そんな状態だから、安倍総理に誰も意見できないのです。
※週刊ポスト2017年7月21・28日号