「昔はよかった」──そう言いたいのではない。利権や派閥の論理に彩られた「古い自民党」は、国民の猛批判を浴び、下野を余儀なくされたこともあった。しかしそうした「汚さ」の半面、かつて党の中枢を担った議員たちには「政治とはかくあるべし」の矜持があった。彼らは言う。「今の自民党は、もはや国民のために在る政党ではない」──と。副総裁、建設大臣を歴任した山崎拓氏(80)が諫言する。
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9条改正自体には賛成です。私が考えた憲法改正案は、「戦争放棄」の1項を残し、「戦力不保持」の2項を変えて「自衛のための実力保持」を明記するというものでした。
しかし、安倍案では1項、2項を残したまま、追記するとしています。果たしてそんなことが法理論的に可能なのか。2項で戦力不保持といいながら追記で戦力である自衛隊を認めたら、矛盾が起きるのではないか。
自衛隊という特殊な言葉を使い、軍隊じゃありませんというわけです。自衛隊員は、自分たちは軍隊じゃない、警察でもない、じゃあなんなのか、ということになる。それに海外では今も自衛隊の位置づけは軍隊です。憲法は国内だけでなく国際的にも通用するものでなくてはならないのに、どうするつもりなのか。