春夏連覇を狙うセンバツ覇者の大阪桐蔭と、昨夏で休部に追い込まれた超名門のPL学園──多くの高校野球ファンに鮮烈な印象を残す2校。その「縁」を『永遠のPL学園』著者・柳川悠二氏(ノンフィクションライター)が追った。
* * *
ロサンゼルスの丘陵地に立つドジャースタジアムのクラブハウスに、試合前のルーティンを終え汗だくになっている前田健太がいた。
先発ローテーションから外されたばかりの微妙な時期で、アポのない突然の訪問だったが、こちらの質問の意図はすぐに察してくれた。通算7度の全国制覇を誇り、プロに81人を輩出した母校・PL学園の野球部が60年の歴史に終止符を打って、間もなく1年になる。
「プロになった時、OBの方々にものすごくお世話になった。あれだけの先輩がプロで活躍している学校って他にないじゃないですか。だからみんなから羨ましがられたし、改めてPLが築いてきたもの、そのすごさを感じました」
昨年7月15日、PL学園の最後の対戦相手となった東大阪大柏原は、2006年夏の大阪大会準々決勝で、前田が敗れた相手でもあった。