7月10日、早稲田大学にてコンドーム無料配布イベントが行われた。主催は同大学の「イベント企画サークルqoon(クーン)」。イベントは、まずはコンドーム使用の重要性のレクチャーを行い、来場者はHIV/AIDS、STI(性感染症)の予防としてのコンドームの重要性のレクチャーを受け、続いて「コンドームユーザー宣言」を行った。
これは、コンドームの重要性を理解した上で、性行為の際コンドームを使う! という熱い思いを付箋に書き、イベント会場のボードに貼り付けるのである。そのうえで、付箋にメッセージを書いた人は、所定の時間の間、コンドームを好きなだけ袋に詰めることができるというもの。さらには、アフターケアとして、公益財団法人エイズ予防財団、ジェクス株式会社発行の啓発冊子を手渡しし、HIV/AIDSに対する正しい知識を提供した。以下、当日のレポートである。
イベント開始時刻前から何人かの男子学生が「コンドームもらえるってよ(笑)」「コンドーム袋詰めって(笑)」などと言いながら開始待ちの列を作り始めていた。いざ開始の時刻となると、たちまち学生たちが行列を作り始めた。行列は昼休み(12:10~13:00)の間、途切れることなく伸び続け、用意していた配布数を上回る恐れが出てきたため、途中行列の打ち切りをする必要が出てきたほどだった。50分の間にコンドームをもらいに来た学生は203人、配布したコンドームは1000個を超えた。
「草食系男子が増えている」「若者のセックス離れ」などと言われて久しいが、本当にそうだろうか? 来場者たちを見ていると必ずしもそうとは言えないだろう。コンドームをもらうためだけに行列を作っていた200人以上の学生は実に多様だった。見るからにイケてるパリピ(パーティピーポー)風の学生や、大人しそうな見た目の男子二人組、「童貞で彼女がいないから使用機会がない」とおどけて見せる男子学生、「需要が凄いから」などと意味不明な見栄を張る男子学生などなど。
203人全員がコンドームを使うことを宣言し、楽しそうにコンドームをもらっていった。ならば、一体、“草食系男子”はどこにいったのだろう? そもそも草食系男子はこんなイベントには来ないという意見があるかもしれないが、200人以上もの学生が来たるべき「その時」に備えて、コンドームをもらいに行列をなしたのである。企画したサークル・qoonのスタッフにとっても想定以上の盛り上がりになったわけだ。そこには「草食系」の世間的イメージとは異なる光景が展開されていた。
◆女性からの意見とイベント開催意図
そして、カップルや女性だけで貰いに来る女性もちらほら見られ、「(行為の際)某ディスカウントストアの袋から出されると萎える」「(彼氏が)机の上に置きっぱなしにするのをやめてほしい」などの声が上がっていた。「女性が持っていることは少ないですよね?」という、スタッフの女性来場者に対する質問に対し、「だからこのイベントでもらいに来ました」というコメントもあった。qoonのスタッフは、このイベントの開催意図をこう語る。
「学生が大学内で性についてオープンに語り合える風潮を作っていきたいと思い、このようなイベントを企画しました。まだまだ、性について語り合うことをタブー視する雰囲気が学内にはあります。しかし、若者の間で増え続けるSTI(性感染症)の問題、キャンパスレイプの問題や望まない妊娠など、性に関する学生が当事者になり得る多くの社会問題があります
そういった問題を解決するためには、一人でも多くの人に性について真剣に考えてもらうことが必要だと思います。コンドームの袋詰めという楽しげなイベントを最初の一歩として、自分や大切な人を守るために、性についてしっかりと考えていってほしいです」
イベントは14日までの早稲田大学早稲田キャンパス大隈銅像前にて12:10~14:45までの予定で行われる。