「けっこう浪費家なんで。服とバッグにお金かけちゃう。こないだもバーキン買って。接客バイトとかやりたくないし、アタシ、効率重視なんです。立ちっぱで時給800円とか絶対無理。だったらワリキリのがいいじゃん、って」
新宿・歌舞伎町のど真ん中。居酒屋、雀荘、日焼けサロン、あらゆる店が集う雑居ビルの2階で、浜崎あゆみを細くしたような21才の女子大生が話す。
《各テーブルで今夜も恋の芽散乱中》を謳う出会いカフェ『L』の店奥。15席のカウンターの端で、あゆみは肩に掛かるほどカールした茶髪をいじりながら、しきりに「ワリキリ」を連呼した。花柄のひざ上スカートに白のカットソー。生足をさらけ出し、カルアミルクを流し込む。
文科省の前事務次官、前川喜平氏(62才)が「実地調査」で通い詰めた店である。7月初旬のある夜、本誌もまたここで働く女性の生態を“調査”すべく、店に入った。南国のモンステラの葉が壁一面を覆う店内には、カウンター席の他、ガラスで仕切られた向かい合わせの席がある。
1時間1ドリンク付きで3500円、2時間4800円。女性は無料。ドリンク飲み放題、スナック菓子食べ放題。席に座ると、男性の手元にはピンク色のメッセージカードが置かれる。ニックネーム、職業、血液型を書き、「食事」「カラオケ」「飲み」「女の子におまかせ」の4項目から1つを選択。全て記入したら店員経由で気になる女性に送る。先方がOKの場合、相席して“次の予定”を交渉する。
この夜、店内には9人の女性がいた。ミニスカワンピの20代前半から、スーツを着たアラフォーまで、さまざま。グラスを片手にスマホをいじり、男性からの指名を待つ。一晩遊ぶ男を求め、あるいは交際相手を求め、店に集った素人女性である。
「ま、多くが“ワリキリ”目的だけどね。要は、エンコー。お金のために割り切って寝ますってこと。前川さん、よく来てました。あたしも指名されたことあるんで。貧困調査なのかなぁ。教育問題とか難しい話をしてたけど。『このあと外出る?』みたいな交渉もあった。アタシは断ったけど、ついてく娘もいた」
あゆみが通うのは、都心の超有名私立大学。文学部英文学科でヴォルテールを学ぶ。
「高校は地元の宮崎の進学校で、超ガリ勉でした。両親は教師。小さい時からメチャ厳しくて。テストの点数悪いとオモチャ捨てられてましたから。でも暗記ものは得意で、入試は意外にサクッと」
念願のひとり暮らし。で、すぐに弾けた。