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習近平肝煎りの中国副都心、歩いてみたら罰ゲーム

空気が悪く塗装もはげている(容城県)

 人事抗争はこの国の風物詩である。5年に1度の党大会をこの秋に控え、習近平政権が、俄に動き出した。上海市をはじめ、重要都市の要職に腹心を送り込む。国外で暮らす企業家や元幹部にも「汚職」の疑いをかけている。さらに奇手を放った。新たな先進都市を河北省に構想し、首都圏機能の一部移転を仄めかしている。さっそくプロジェクト現場を歩くと、何やらきな臭い空気が漂っていた。ノンフィクション作家、安田峰俊氏がレポートする。

 * * *
「これは何の罰ゲームだ?」

 ため息をつこうとして、再び肺が重く痛んだ。舗装の剥げた路面を、ホコリと排気ガスを巻き上げてトラックや三輪タクシーが走り去る。

 空気は饐えた臭いがして、頭痛と目眩が治まらない。やがて雨が降り出し、汚染物質を含んだ水滴が私の頬に何本も筋を作った――。

 ここは北京の西南約110km、河北省保定市郊外の容城県である。今年4月1日に習近平の肝煎りで突如指定された副都心・雄安新区の一角だ。深センや上海に匹敵する先進地域に育て上げる計画が提唱されている。

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