1975年、長嶋巨人が低迷していた時も、ファンは熱いハートを持ち続けていた。事実上の機関誌だった『週刊読売』(2008年に休刊)には、何が何でも巨人を応援するという凄まじい熱意が誌面から溢れていた。読者から募集した巨人優勝のためのアイデアには「王の敬遠はホームラン扱い」「あらかじめ2点を与える」など様々な意見が寄せられた。その『週刊読売』がないのは、高橋由伸監督があまりに可哀想だ──『週刊ポスト』が代わって『週刊読売』流にエールを送る。
トップバッターは、巨人ファンでおなじみ、落語家のヨネスケ氏だ。
「長嶋茂雄さんに“総監督”としてベンチ入りしてもらうのはどう? 試合前のミーティングで“勝つ、勝つ、勝つ”と気合いを入れてもらう。阿部(慎之助、38)や長野(久義、32)の調子がどうこうじゃなくて、心の問題だよ。
高橋由伸監督の現役復帰も考えたけど、チャンスで凡退したらベンチは暗くなるからやめておきましょう。選手に睨みを利かせるのは長嶋総監督に任せ、由伸監督は采配に専念。昨年の日本ハムは最大11.5ゲーム差から逆転優勝した。まだ諦めちゃいけない」
たしかにミスター復帰なら、ベンチの雰囲気はガラッと変わる。1975年、「報知新聞」で長嶋番を勤めていたジャーナリストの柏英樹氏も、当時を振り返ってこう指摘する。
「負け続けていよいよ話題がなくなってくると、長嶋監督は自らサードコーチに立って、率先して明るい話題を作ってくれました。そうすることで、チームが弱くてもファンは球場に足を運んでくれたし、最下位でも報知新聞が売れた。『高橋監督も自らサードコーチに立つ』くらいのパフォーマンスを見せれば、スポーツ紙も書きやすい(笑い)」
選手も全く違うアプローチでやってみるのがいいのではないか。