面倒は適当にやり過ごせ(写真:アフロ)
安倍首相の秘書役・菅官房長官の記者会見が注目を集めている。次々と起きる疑惑について質問する記者たちを、独特の弁舌で切り返していく。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が「菅話法」のコツに迫る。
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感心していいのか呆れていいのかわかりませんが、菅義偉(すがよしひで)官房長官の「まったく答える気がない話法」に、ますます磨きがかかっています。森友問題や加計学園問題をはじめ、政府や安倍首相にとって「都合の悪いこと」をいくら追求されても、いつもの調子で話の本質をずらし、徹底的にとぼけ続けました。好き嫌いはさておき、自分の仕事をまっとうするプロの技ではあります。
話は変わるようでつながりますけど、このところ『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一&菊池良・著、宝島社)という本が大きな話題になっています。三島由紀夫や太宰治から星野源、迷惑メールまで、いろんな人の文体を模写してカップ焼きそばの作り方を説明するというもの。村上春樹は「完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」なんて書いています。
7月12日付の東京新聞では、文芸評論家の斎藤美奈子さんが連載「本音のコラム」の中で、この秀逸なパロディ本を取り上げて見事なパロディを展開しました。まずは安倍首相が「それをですね、それをなにかわたくしが、まるでかやくを入れていないというようなですね、イメージ操作をなさる。いいですか、みなさん、こんな焼きそばに負けるわけにはいかないんですよ」などと熱弁をふるいます。
続いて菅官房長官が登場。記者が「もしも総理がカップ焼きそばを作ったらという点について伺いたいのですが」と尋ねると「仮定の質問にはお答えできません」と返します。さらに「総理は焼きそばに負けないといっています」と記者が聞けば「まったく問題ありません」。めげずに「ですが、焼きそばは食べ物です」と食い下がっても「その指摘は当たりません」。妄想上のやり取りですが、妙にリアリティがあります。