昨年末より、日本陸連のマラソン強化・戦略プロジェクトのリーダーに就任した、長距離界のレジェンド・瀬古利彦氏(61)。瀬古氏を始めとした1980年代日本マラソン最強時代のように月間1000kmは走らないとマラソンでは勝てない、今の選手は月間600~700kmくらいしか走っていないと指摘する瀬古氏に対し、古くさい考え方だとの指摘もある。同氏を長く取材してきたルポライターの高川武将氏が、日本マラソンの再建の鍵について聞いた。
──最近も高校の指導者が1980年代の練習を公然と批判していて驚きました。マラソンを走ったことも、選手を育てたこともないのに。ついに時代はここまで変わったのかと。
「本当そう思うんですよ。格好良くとか、楽しくとか、合理的にとか、そういうことが前面に出てきている。それで速くなっていればいいですけど、結果が出ていないのにそれはちょっとおかしいだろうと。
でも、いいんですよ。僕は、正解は一つではないと思っている。それぞれやり方が違うのは当たり前で、いろんな練習方法がある。だから逆に言いたいよ。去年から日本記録を破ったら1億円が出ることになった(実業団陸上連合のプロジェクト)。早くね、我々と違う自分の好きな練習をやって、自由な生活を送って、1億円貰ってくれって。もしそんな選手が出たら俺は頭下げるよ。ごめんな、練習が古かったなって(笑)」