放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、とどまるところを見せない“松居劇場”、その禁断の歴史をひも解く。
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7月4日、YouTubeにて“松居砲”が発射されてから10日余りが経過した。
男性二人、女性一人と松居一代からなる“チーム松居”による発信や立ち回りは、相変わらずワイドショーのネタになっている。
メイン視聴者は、松居と同年代のF3層(50才以上の女性)。F4と呼ばれる60代半ば以上の女性たちは、四半世紀前、松居一代が元夫と繰り広げた離婚ネタや息子さんのアトピー性皮膚炎や自身の顔面麻痺、さらには大手ゼネコンを相手取った欠陥住宅訴訟などを思い出していたことだろう。
当然のことながら、テレビ局の現場に、その年代のスタッフは少なくなっている。因って、松居一代が『新潮45』(98年11月号)に記した「バブル亭主、ゼネコン、銀行との『わが闘争』…黙って死ねるか!」が掘り起こされたのも、今週半ばのことだった。
実は、松居がこの文章を書くきっかけを作ったのは私なのである。当時、単行本の企画を探していた新潮社の中瀬ゆかり氏に、「松居一代の話が面白い」と紹介。その頃、松居ネタを度々取り上げていた『ルックルックこんにちは』(日本テレビ系)の出演者であり、スタッフでもあった私は、松居が夫と浮気相手との密会現場に一人で潜入した話や、自宅マンションの天井が壊れ、水漏れを起こし、エルメスのバーキンやケリーが台無しになったこと。元夫の借金の保証人にされていたことなどを松居本人から聞かされ、何本、再現VTRにナレーションをつけてきたかわからない。いまは良く見かける“本人出演”の再現の走りも松居一代だったように思う。
件の中瀬氏は、「(単行本化は)ウチでは難しいと思う」と言い、『新潮45』での執筆を選択。新潮社としては、明らかにキワモノであり、知名度もいまほどではなかった“松居本”のハードルは高かったのだろう。
その松居一代が執筆した『わが闘争』が、やっとワイドショースタッフの目に留まったというワケだ。