トランプが行ったパリ協定の離脱声明からして、多くの事実誤認と嘘と誇張にまみれていた。例えば次のような発言である。

「パリ協定で、中国は数百基の石炭火力発電所の新設を許されているが、我々はできない」

「協定が全面的に履行されても、2100年までに0.2℃ほどしか、気温は下がらない」

 まず、パリ協定では、「中国の発電所建設を許可する」とも「アメリカの発電所建設を禁止する」とも定められていない。しかも、パリ協定のせいで石炭産業が苦しくなったわけではない。アメリカでシェールガスが低コストで大量に採掘できるようになったから、石炭が使われなくなったのだ。

 後者の発言は、大事な点を隠している。この将来の気温シミュレーションでは、もし温暖化対策を行わなかったら、地球の気温は「5℃以上も上昇する」とされている。だからパリ協定が存在するのだ。

 自身を批判するメディアを「フェイクニュース」と断じるトランプは、そうやって自ら「フェイク」をバラ撒いているのだ。

 トランプのパリ協定離脱に対しては、国内外から次々に非難の声が上がった。特筆すべきは、アメリカ各州の知事や市長などから反対声明が出たことだ。

 カリフォルニア州知事のジェリー・ブラウンは、「(トランプの)間違った意味不明の行動に、徹底的に対抗する」と強い言葉でパリ協定離脱を批判した。

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