今年は例年にまして天気予報が見逃せない夏となっている。7月前半の2週間で観測された東京都心の「真夏日」(30度以上)の数は、過去5年の同時期の平均の2倍を数え、例年を超える熱中症患者が搬送された。九州北部に大きな被害をもたらした集中豪雨は記憶に新しいが、各地でゲリラ豪雨が頻発していることも不安材料だ。民間気象会社のウェザーニューズは、9月までに発生する全国のゲリラ豪雨は、過去3年の平均の3割増となる7000回以上と予想している。
天候によるリスクを避けるには、こまめな予報のチェックが欠かせない。普段何気なく見ている天気予報を有益なものにする「意外な真実」を紹介する。
●夏は天気予報の適中率が低い
ゲリラ豪雨が突然降ってきた時、「天気予報と違う……」と恨めしく思った経験はきっとあるだろう。ゲリラ豪雨を予測することは現在の技術をもってしても非常に難しい。元気象庁予報官である気象予報士・伊東譲司氏が解説する。
「一般にいうゲリラ豪雨とは、気象用語では局地的大雨、集中豪雨といいます。積乱雲が発達し、数十分の短時間で半径10キロメートル程の範囲に数十ミリの大量の雨を降らせます。こうしたスケールの小さい現象は、風や気温などの時間変化をコンピューターで計算する数値予報の弱点であり、1日前に予想するのは非常に難しい。一方、ある程度広範囲な豪雨であれば、前日や前々日に予報を出せる技術が進んでいます」
気象庁が発表する「適中率」(「降雨予報が当たったか否か」を示す数値)は、関東甲信の場合、1月の90%に対し、7月は77%と夏場の方が大きく下がる。予報のさらなる精度向上が求められている。