官邸と自民党内でついにスキャンダルの「刺し合い」が始まった。加計学園問題の説明責任から逃げ回っていた安倍晋三首相が予算委員会の閉会中審査で答弁に立つことが決まると、機先を制するように反安倍派の急先鋒、石破茂・元幹事長の“疑惑報道”が飛び出したのだ。
スキャンダル爆弾を投下したのは「親安倍」メディアと自他共に認める産経新聞だった。
〈加計潰しに奔走する獣医師会〉
7月17日付の朝刊1面トップにそう大見出しを打ち、『加計学園 行政は歪められたのか?』という短期集中連載をスタートさせた。
内容も刺激的だった。石破氏が自民党幹事長時代(2012年12月)に日本獣医師政治連盟から100万円の献金を受け、国家戦略特区担当の地方創生相に就任すると、獣医学部新設が極めて困難となる「石破4条件」が閣議決定された──というストーリーだ。
産経は日本獣医師政治連盟委員長の北村直人・元代議士と日本獣医師会会長・蔵内勇夫氏の2人に向けて石破氏が語った、「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」という生々しい発言を報じている。
ところが、石破氏、北村氏、蔵内氏(獣医師会)ともに本誌取材にこの石破発言を否定した。なぜ、産経新聞は3人だけの密室での会話をまるで見てきたように書くことができたのか。