ライフ

そうめんの歴史 「ピーマンそうめん」なる珍メニューも 

オーソドックスな食べ方がやはり美味しい(写真:アフロ)

「そうめんなんて、茹でてツユに付けて食べるだけだろ」などと思っているあなたはそうめんの一面しか知らない。日本そうめん100年史をひもとくと、かなり珍妙な料理も現れて──。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 前回、国内におけるこの百数十年のそうめん事情と世相を新聞の過去記事からひもとこうとしたところ、昭和初期までで紙幅(※紙ではありませんが、目安の文字数)を使い果たしてしまった。

 江戸時代に夏の風物詩として庶民の口に届くようになったそうめんは、明治に入り、名産地を数多く持つ関西版の紙面で存在感を増し、その後、関東でも展開されるようになった。しかし1923(大正12)年に起きた関東大震災以降、広告を含めた新聞記事から「そうめん」の4文字は姿を消す。再び紙面で存在感を増してくるのは、昭和に入ってからのことだった。

 1930年代、昭和恐慌などの影響もあってか、保存性の高いそうめんが再び脚光を浴びるようになる。1935(昭和10)年には、そうめん3把を寒天1本で寄せるという「氷そうめん」が紹介された。さらに米、味噌、醤油、塩などの日用品に切符制が導入された昭和15年には5本の寒天で1把のそうめんを固めた「そうめん寄せ」が掲載される。ちなみにこの量で5人前。ひっ迫した食糧事情が伺える。この翌年1941(昭和16)年にはそうめんも配給の対象となり、以降「そうめん」という文字が紙面に登場するのは20年以上先の1960年代を待たなければならない。戦後復興は一日にしてならず、だったのだ。

 戦後、そうめんの復活は終戦から17年経った1962(昭和37)年のことだった。「ひやしそうめん」としてそうめんの作り方を、「辻留」の辻嘉一が紹介している。特に変わったところのないオーソドックスなレシピだが、昭和30年代は現在まで続く近代家庭料理の基礎が作られた時期。基本の型が再認識される時期だったのだ。

 もっとも昭和40年代に入ると様相が変わってくる。例えば、1969(昭和44)年には「ピーマンそうめん」なる珍妙なメニューが紹介されている。「そうめんをゆでたピーマンにつめ、ゴマだれでいただくものです」と紹介されているが、なぜそうめんをピーマンに詰めて茹でるのか。意味がわからないし、誰が提案したメニューなのかも書かれていない。

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン