放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、様変わりした連ドラの番宣方法について考察。
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連ドラの視聴率推移が変わりつつある。
かつて、宣伝担当は、とにかく初回を見てもらうことに力を注ぎ、予算を注ぎこんだ。豪華ホテルの宴会場にメインキャストや脚本家、プロデューサーらを集めたり、作品内容に因んだ場所やロケ地に記者を呼んだりして、スポーツ紙、雑誌、自局のワイドショーで、いかに大きく取り上げてもらうか。それが、イコール、初回の視聴率を上げるコツだったし、宣伝担当の“お仕事”だったように思う。
フジテレビなどは、いまも時々やっているけれど、映画館のスクリーンを借り切って、事前にファンを集め、「キャストと共に初回を見よう」といったイベントもある。つまりは映画の宣伝と同じ。完成披露試写会をして、観客のクチコミで初回を見てくれる人を増やそうという狙いだ。
が、それで数字が保証できたのは一昔前までの話。宣伝予算が大幅にカットされるようになって久しい昨今は、華やかな会見も、イベントも激減しているのである。
それ以上に“テレビ離れ”のスピードのほうが速く、その筆頭である若者たちには、「できることなら損をしたくない」という考えもあるという。リアルタイムでテレビの前に座ったはいいけれど、「全然、面白くなかった」「見て損した」「私の(僕の)一時間を返せ」といった感想しか残せないドラマは、第2話からの視聴率をガクンと落としてしまうのだ。
私は以前からテレビ誌の功罪もあげてきた。キャストの相関図やらあらすじを事細かに記しすぎるせいで、「見た気になってしまった」「中ヌケしても大丈夫」といった気持ちになる視聴者を増やしてはいないだろうか。