国内

58才の弟を亡くして感じた通夜から火葬場までの涙の実録

身内の死、火葬までのドキュメント(写真/アフロ)

 経験ずみの人にとっては「なんだ、そんなこと」だけど、還暦になって初めて身内の死に直面した女性セブンの名物記者・オバ記者(60才)にとっては天地がひっくり返ったよう。年子の弟の死の知らせから、通夜、お葬式、49日までの流れ、その時々の感傷をレポート。

 * * *
 ああ、もう長くはないな。2か月前、末期の胃がんであることを本人から知らされ、すぐに会いに行って直感した。

 宮大工の弟と会うのは1年半ぶりだ。その前から昼夜問わずに、酔ってかけてくる電話にうんざりしていた。私の帰省を知ると、一升瓶を持って実家にやって来て、飲んでは家族と仕事の愚痴。そうでなければけんかを吹っかけられたりとロクなことはない。

 それが年々、ひどくなってきたから、「絶対に体のどこかが悪いから病院で検査しろ」と何度か意見をしていた。

「あんとき、姉ちゃんの言うことを聞いていればな」

 頬骨を尖らせるまでやせた弟が、弱音を吐く。

「食べ物を喉に通すのも命がけなんだよ」と電話がかかってくる。とっさにスープにゼラチンでとろみをつけて食べさせようと作り始めたけど、やめた。強引に病院から退院してきて、自宅療養を決め込んだ弟に、家族はどれほどいやな思いをしているか。

 スープなんか作って持ってったら弟は、私をダシにして妻を攻撃するに決まっている。

 死の4日前に見舞いに行った時は、かすれる声で、「おれは葬式を出してもらえっかな」とそればっかり。もう、うんざりだった。

 それなのに、弟の妻から、「死んじゃったよ。目を離したすきに食べ物を気管につまらせて」と、切羽詰まった声で聞かされた時は、パニックになった。

「病院には行ったの?」
「違うよ。死んだんだよ」

 今思えばトンチンカンなやり取りだけど、どうしても“死”が頭の中で確定しない。親戚のおじさんや、友達の両親、仕事仲間など縁があった人の死とはまったく違うこの感覚。“死”って何だ?

◆ところかまわず襲ってくる悲しみの発作の中での葬儀の準備

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン