去る6月15日、伊東四朗は80回目の誕生日を迎えた。
「世間では傘寿でしょ? お祝いしてくれるっていうんだけど、あっちこっちにお触れを出して、お願いだからやらないでくれって。照れくさいでしょう。
家族にもお祝いは『いいよ』って断わりました。だって、ただ生きてきたってだけなんだから。だいたい、80まで生きるって思ってなかったしね。来年で芸歴60年ですけど、この商売を続けられるとも思っていなかった」
本人は謙遜するが、80歳にして第一線である。ラジオの冠番組を20年間続けながらドラマの仕事は絶えず、今クールは『黒革の手帖』(テレビ朝日系)にレギュラー出演。来年2月には、三宅裕司とのコントライブ『死ぬか生きるか!』が控える。
「役者になろうとも思っていなかったですからねぇ。高校を出た時に就職試験さえ受かっていれば、私はこの世界にいなかったんです。面倒くさがり屋ですから、入ったらずっと同じ会社にいたな」
ところが就職試験に失敗。大学生協でバイトするようになるのだが、その時代に夢中で通ったのが劇場だった。