最強の市民ランナーと呼ばれる川内優輝(30歳・埼玉県庁)の平日の練習は午前10時からの約2時間。月間の走行距離は約600キロと、恵まれた環境で月間1000キロ以上走ることも珍しくない実業団選手と比べると少ない。また、週末に海外マラソンに参加した際には、勤務に穴を開けないようにと当日に帰国の途に就き、空港から直接職場に向かうことも少なくない。だが、そんな厳しい環境すら川内は楽しんでいるように見える。
「もちろん働きながらマラソンをしているので、実業団選手に比べれば練習量は限られますが、仕事は午後からで午前中は練習に充てられます。(マラソンについては)誰かにスケジュールを管理されることもなく海外のレースに出たいと思えば有休を使って行くこともできますし、私自身はむしろいまの環境は恵まれていると感じています」
今年30歳となったが、川内は自身のピークについて「これからの3年くらい」と話す。しかし、暑さを苦手としていることから2019年ドーハ世界陸上や2020年東京五輪を目指すつもりはなく、今回の世界陸上を最後に日本代表からは引退する意向を示している。
「ロンドンの気温は25度前後だと思います。ただ、2019年のドーハや2020年の東京はどう考えても30度を超えてきます。そうなると暑さに弱い私に勝つ見込みはありません。私は代表になる以上は世界と戦いたい気持ちがありますし、それができなければ代表になる意味はないと思っています」
過去2度出場した世界陸上はいずれも18位と不本意な結果に終わった。だからこそ川内は3度目の正直として周囲の期待に応えたいと意気込む。今回は日本選手団の男子主将にも選ばれた。