医者や弁護士、大学教授など、世間から冷静沈着な判断を期待されている職業であっても、オカルト的風潮に染まった人たちがいる。評論家の呉智英氏は、たとえ権威ある地位にある人物であっても、マスコミはオカルトと手を組んではいけないし、オカルトを煽り続けてはいけないと批判している。
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6月22日、市川海老蔵夫人の小林麻央が満34歳の若さで亡くなった。その翌日もなお、悲しみを堪えて公演を務める海老蔵の姿に、歌舞伎ファン以外の人々も感動の拍手を送った。
しかし、そもそも小林麻央は適切な治療を受けていたのか。麻央の病名は乳癌だった。癌治療はこの三、四十年で著しい進歩を見せ、今や「治る病気」になっている。だが、麻央はオカルト治療を受けていた。「週刊新潮」7月6日号によれば、麻央は、手術、放射線、抗癌剤などによる標準治療を受け容れず「気功に頼っていた」。施術師が患者に掌をかざして気を注入するのだという。夫君である海老蔵も「女性風水師やゲイの占い師に傾倒」していたらしい。
オカルトが若い命を奪ったとさえ言える。1995年のオウム事件の衝撃によって、それまで広まっていたオカルト的風潮は地を払ったように思われたが、実はしぶとく生き延びていた。そのオカルトと手を組むマスコミさえある。
産経新聞がオカルト論者をしばしば紙面に登場させてきたことを私は何度も批判したが、7月11日付の一面コラム「産経抄」では、「胎内記憶の研究を続けている産婦人科医の池川明」センセの迷著『子どもは親を選んで生まれてくる』を取り上げている。