保守ならば天皇陛下を敬愛し、皇室の将来にわたる繁栄を望むはずだが、安倍・自民党は陛下のご意向を無視して女性宮家創設の議論には一向に着手しようとしない。自民党はなぜ変容してしまったのか。船田元・衆議院議員(自民党)に聞いた。
──自民党内で、女性宮家創設の議論が一向に進まない理由は何か。
船田:小泉政権時代、総理の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が設けられ、女性天皇、女系天皇を容認するという報告書がまとめられました。
しかし秋篠宮妃紀子様のご懐妊が発表されると、議論がストップしてしまった。私は皇室の伝統を守り、安定的な皇位継承を図るには、女性宮家を創設し、女性天皇を認めるべきだと主張してきました。
ですが、小泉政権の後に誕生した第一次安倍内閣でも、現在の第二次安倍内閣でも、皇位継承は「男系男子に限る」の一点張り。党内には、議論さえ許されない空気が漂っています。
──男系男子に拘泥すると皇室の存続そのものが危ぶまれる。
船田:男系男子を主張する人たちは旧宮家系の男子を皇籍復帰させれば、皇室は存続できると考えています。理屈としては、それで男系男子は維持できるのでしょう。しかし現実的な解決策だとはとても思えません。
そもそも11の旧宮家が皇籍を離脱したのは昭和22年。すでに70年の歳月が流れています。現在では、旧宮家系の方々の多くが生まれたときからずっと民間人です。皇族としての自覚を持たれている方や、皇籍復帰の意向を持っていて、その覚悟をされている方はほとんど居られない。また皇籍復帰したとしても、国民には馴染みがありません。なかなか受け入れられないのではないかと思います。