あなたは「インスタ映え」という言葉をご存じだろうか。写真SNS「インスタグラム」に投稿すると受けそうな被写体を指す。だがおっさんがウカツに使うと危険だ。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が指南する。
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食べ物も風景も文房具も、世の中のものすべてが、大きくふたつに分けられようとしています。見栄えが良くて「インスタ映え」しそうなものと、どうひっくり返しても「インスタ映え」しそうにないもの。猫も杓子も女子も一部のおっさんも、四六時中「インスタ映え」する被写体を探し求めてスマホを握りしめています。
「インスタ」は、もともとはSNSの「インスタグラム」の略でした。ところが、今や若者のあいだでは、スマホやデジカメで写真を撮ることや撮った写真のことを「インスタ」と呼ぶようになっているとか。私たちおっさん世代が、携帯電話で写真を撮ることや撮った写真を「写メ」と呼んでしまうようなものでしょうか。
昨今、新聞やネットニュースの見出しでも「インスタ映え」という言葉よく見かけます。どこかのホテルが「インスタ映え」を重視したスイーツを並べているとか、「インスタ映え」するスポットの人気の秘密を探ったりとか。はたまた〈インスタ映えは「インスタ蠅」!ネットでそろそろ「うざい」という風潮に〉という記事もありました。
多くのおっさんにとってインスタグラムは、ちょっと覗いてみたことがあるぐらいがせいぜいで、いまいちハマれないし何が楽しいのかもわかりません。ただ、これだけインスタやインスタ映えという言葉が広がると、話の中で触れざるを得ない場面が出てきそうです。迂闊なことを言って若者、とくに女性から白い目で見らないように、どんどん勢いを増す「インスタ映え狂想曲」との大人な付き合い方を考えてみましょう。
まずは、これをやったら絶対に若い女性に嫌われる言動ベスト3。
1.オフィスや外回りの途中で、女性の部下に『ほらほら、あの雲、インスタ映えしそうだよ。撮ったほうがいいんじゃない』と勧める(親切のつもりかもしれないが、かなりうっとうしい。もちろん雲じゃなくても同様)
2.飲食店で女性が食べ物や飲み物にスマホを向けたら、微笑みつつ「インスタ映えしそうだから、撮りたくなるよね」と理解を示す(若者文化についていけているところを見せたいのかもしれないが、かなり気持ち悪い)
3.飲み屋のおねえさんなどに、服やアクセサリーをホメるつもりで「おっ、いいねえそれ。いかにもインスタ映えしそうじゃない」と言う(言われた側にしてみればバカにされたようにしか聞こえず、かなり腹立たしい)