長年、自民党政治を観察しつづけてきた政治評論家の屋山太郎氏。安倍政権を支持する姿勢を明確に打ち出してきた同氏だが、さすがに今の状況を見て、「自民党と切磋琢磨するもう一つの保守政党が必要だ」と指摘する。
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自民党の中でまず懸念すべきは、今話題になっている2回生の問題に象徴されるような議員のレベルの低さ、モラルのなさだ。これが政治家だとすると非常に恥ずかしい。この惨状は目先のことに留まらず、彼らが今後の自民党を引っ張っていく立場になる将来を考えれば、国家の存立そのものが危ぶまれる。
その原因は自民党の公募制だろう。東大卒だとか、ハーバード大卒だとか、その程度の経歴を見て候補者を決める。肩書きや雰囲気が良ければ風向き次第で当選できると考えているのだろうが、そんな選び方では、まともな議員は出てこない。また、2世だからといって安易に公認を得られる“世襲”も問題だ。国家観どころか社会人としての常識も持ち合わせていないような1、2回生がたくさんいる現在、今後の自民党を考えるならば、きちんとした政治家としての教育が求められる。
自民党が新人教育をできていない理由について、多くの議員は「かつてのように派閥がないから」と言っているが、単に派閥を復活させればいいわけではない。昨今では派閥の集金力は衰退し、派閥が議員に金を配れなくなった。資金面での派閥に入っているメリットが失われたからこそ、70人以上が無派閥でも平気でいられる。もう派閥政治の時代ではないのだ。派閥でなく、自民党自身が若手の教育に乗り出さねばならない。