保守ならば天皇陛下を敬愛し、皇室の将来にわたる繁栄を望むはずだが、安倍・自民党は陛下のご意向を無視して女性宮家創設の議論には一向に着手しようとしない。自民党はなぜ変容してしまったのか。船田元・衆議院議員に聞いた。
──自民党の変貌の原因はどこにあるのか。
船田:1つは安倍総理がご自身の考えに近いお友だちを重用したせいで、多様な意見が総理に届きにくくなった。安倍総理の一強が続いた影響で、党内でも大いなる忖度が働いてしまっているのです。
もう1つの問題は選挙制度です。小選挙区制度で、カネも公認権も党本部に集中した。その結果、党本部、ひいては官邸が、選挙区、資金、議員のポストなどすべてを掌握するようになった。いわば、官邸が自民党議員の生殺与奪権を握っているような状態です。
──生前退位について自民党内での議論は、党幹部14人で構成される「天皇の退位等についての懇談会」で非公開で行われた。他の議員には意見を文書で提出させた。議論の場すら設けられていない。
船田:私は文書を提出しませんでした。天皇の生前退位という慎重に議論すべき問題に対して、意見を文書でしか受け付けないという執行部の姿勢はいかがなものかと思い、抗議の意味で提出しませんでした。
もちろん総務会など、意見を言う場はあります。かつては異なる意見があれば、方針を変更したり、案を修正したりするということがよくありました。しかしいまは、のれんに腕押しという感じです。意見を聞き置くだけで、幹事長や政調会長に届いているという実感がありません。
より深刻な問題は、異論を唱える議員の顔ぶれが決まってきていること。しかもその発言に対して他の議員が「またか」と嘲笑する空気すらある。これでは活発な議論が生まれるわけがない。