全盛期の力を失ったら、あとは土俵を去るだけ―ガチンコ力士たちが幕内上位に顔を揃え、角界の“実力主義”はどんどん厳しくなっている。では、名古屋場所後に横綱・白鵬が目標に掲げた「東京五輪での土俵入り」の頃には、どんな面々が土俵上で躍動しているのか。
「白鵬にはさっさと引退してもらいたいし、稀勢の里もケガがどこまで尾を引くかわからない。だから3年後の横綱は空位という予想にしました」
そう語るのは漫画家のやくみつる氏である。つまりやってくるのは群雄割拠の時代だ。
「高安は大関に残っているでしょうが、横綱に最も近い大関は阿武咲じゃないかと思う。阿武咲はとにかくポジティブでよく攻めるのがいい。しかも、ジュニア時代には白鵬杯(小中学生の相撲大会)で注目を浴びた経歴もある。その阿武咲が白鵬に引導を渡すというのが、ドラマがあっていいんじゃないか。あとは張出大関に北勝富士と貴景勝。貴景勝は上背がないのにとにかく前に出る姿勢がやはりいい」(やく氏)
名古屋場所で幕下全勝優勝、9月場所での新十両昇進を決めた矢後にも熱い視線が集まる。矢後は横綱・大乃国(現・芝田山親方)と同じ北海道芽室町の生まれで中央大出身。昨年のアマ横綱で5月場所に幕下付け出しで初土俵を踏んだ。
所要2場所での関取昇進は史上12人目の最速タイ記録。十両昇進会見では師匠の尾車親方(元大関・琴風)から、「この世界に入ってほんの2場所。まだヤゴじゃないか。トンボになって羽ばたいたら四股名を改名しよう」といわれた期待の星だ。