長年、自民党政治を観察しつづけてきた政治評論家の屋山太郎氏。安倍政権を支持する姿勢を明確に打ち出してきた同氏だが、さすがに今の状況を見て、「自民党と切磋琢磨するもう一つの保守政党が必要だ」と指摘する。
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今の日本の政治は「安倍一強」で、歴史的にも永く自民党が強いと言われてきた。確かにそれは事実であったが、実態は自民党に対抗できる野党がいないため、結果的にずっと自民党が与党を務めてしまったという側面もある。結果的にこれが自民党、自民党政治の腐敗を助長することになった。
自民党政治は過去、何度か存亡の危機を迎えてきた。それを打開しようとしたのは1994年の選挙制度改革だった。
1996年の衆院選では、それまでの中選挙区制から現在に至る小選挙区制に切り替わった。当時、国会で「政治改革に関する調査特別委員会」を設けて議論し、それに私も加わっていた。
小選挙区制導入は、自民党政治が長引いたことによる政治腐敗を何とかしようという意図が前提にあった。田中角栄総理以降、自民党の金権政治が目に余ると国民から声が上がり、自民党に対する信頼感がどんどん落ちてきていたことへの対応策でもあった。
そこで、なぜ自民党が国民の信頼を得られなくなったのかを考えた時、「選挙制度に問題があるのではないか」という問題点に逢着した。