ライフ

「コンビーフは賞味期限を過ぎてからが美味い」説もある

「食品ロス」問題を考える(写真:アフロ)

 食品が食べられずに廃棄される「食品ロス」の削減に、自治体、スーパーなどが取り組んでいる。だがいちばん意識を持たなければいけないのは、消費者ではないだろうか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 気温、湿度とも高い夏場は、食中毒や賞味期限にも敏感になる季節だ。だが、賞味期限/消費期限問題には、相反するもうひとつの側面もある。食べられるにもかかわらず廃棄される食品──いわゆる「食品ロス」問題だ。

 まず押さえておきたいのは「賞味期限」と「消費期限」の違い。賞味期限は劣化が比較的遅い食料品について「おいしく食べられる期限」を示したもの。缶詰やインスタント麺、スナック菓子など加工食品と、卵、牛乳、納豆など一部の生鮮食品への表示が義務づけられている。一方、消費期限はパックされた魚や肉、惣菜、弁当、サラダなど、劣化の早い食品が対象だ。

 ざっくり言うと賞味期限はおいしさを担保し、消費期限は安全を担保する。実はこの表示義務は1995年にそれまでの「製造年月日」から「期限表示」へと変更されたもので比較的歴史は浅い。21世紀に入ってからも、食品メーカーや飲食店の表示偽装問題が起きるたびに、名称・制度の変更や「製造年月日」の表示復活が話題にのぼったが、現在に至るまで制度自体の大きな変更には至っていない。

 もっとも当初「わかりにくい」と言われた制度表示も、認知を得てきている。今年6月に実施された「賞味期限・消費期限に関するアンケート」(ネットリサーチのディムスドライブ調べ)では「賞味期限と消費期限の違い」について「知っていた」(48.5%)、「なんとなく知っていた」(40.2%)の合計が88.8%となっている。ざっくりでも制度についての理解は進んでいると考えてよさそうだ。

 環境省の最新の推計では2014年度の食品廃棄物(事業系+家庭系の合計)は1661万トン。そのうち可食部分とされる「食品ロス」が621万トンとなる。内訳は事業系の「規格外品、返品、売れ残り」などが339万トン、家庭用の「食べ残し、過剰除去」などが282万トンだ。

 事業系での対策はゆっくりとではあるが進んでいる。例えばメーカーでは、味の素が主力商品の賞味期限表示をこれまでの「年月日」から「年月」までにとどめるように表示を変更。昨年以来、飲料や菓子などで年月表示は導入されてきたが、加工食品にまで導入されることで食品ロス削減につなげる狙いだ。

 流通でも、スーパーの西友が菓子や牛乳、ヨーグルトなど、賞味期限や消費期限切れ前の食品を回収し、福祉施設に寄付する取り組みを行っている。

 食品ロス削減に積極的な自治体もある。東京都はメーカーや卸、スーパーなど複数の業界が参加する「ステークホルダー会議」を立ち上げ、「3分の1ルール(※)」などの見直しにも踏み込むという。

【※3分の1ルール 製造日から賞味期限までの期間を3分割し、最初の期間を「小売店への納品期限」、次を「店頭での販売期間」、最後の3分の1は賞味期限が残っていても返品などに回される商慣習。最初の3分の1の期間に小売店へ納入されないと、その時点で廃棄か返品のリスクが高くなる】

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン