米陸軍は、今後中国のドローン製造企業「大疆創新科技有限公司(DJI)」製のドローンの使用禁止を命令した。サイバー攻撃に対して脆弱で飛行不能に陥る可能性があるという。
しかし、同社のドローンは世界シェア70%を占めており、米陸軍のドローンもほとんどがDJI製で、今後の米軍の軍事作戦に支障をきたすことが懸念されている。ロイター通信が報じた。
米陸軍本部は8月2日、DJI製のすべてのドローンのほか、DJIの部品やソフトウエアを搭載したシステムの利用の使用禁止を指示するとともに、DJIのコンピューターソフトをアンインストールしたうえで、バッテリーや記録装置を外すよう命じた。
これについて、米陸軍本部は「陸軍の研究機関と海軍が実施した合同調査でDJI製品のリスクと脆弱性が指摘されたことを踏まえた」などとコメントしている。そのうえで、DJI製品を使用していた部隊に対して、「次の命令があるまで、現在のドローンを保管しておくように」との通達を出した。
当のDJIは声明を発表し、「米陸軍がわが社に相談なく使用禁止を決めたことについて、驚きと失望を禁じ得ない。わが社は今後、米陸軍に対して、いわゆる『サイバー攻撃への脆弱性』が具体的にどのような内容なのか、その意味を確かめ、懸念を払しょくするために、米国防総省に積極的に協力する意思を表明する」としている。
DJIは「中国のシリコンバレー」と呼ばれる広東省深セン市に本社を置く新興企業で、2006年に数名で創設された後、急速に業容を拡大し、昨年には従業員6000人の巨大企業に成長した。現在は東京都港区に日本支社を置いているほか、米、ドイツにも支社がある。