全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で活躍する爽やかな高校球児たち。彼らの姿とは対照的に、この一大イベントは大金の動くビッグビジネスでもある。しかし「甲子園出場」で学校側が相応のリスクを抱え込むこともある。スポーツジャーナリストの田尻賢誉氏がいう。
「野球部の遠征・用具費用、応援団のバス代など、近畿圏の学校でない限り数千万円の出費は当たり前です。過去に甲子園で2試合を戦った徳島県の県立高校は約4000万円を使いました。大半は在校生の親やOBからの寄付金で賄うが、それだけでカバーできる高校は多くない。
最近の甲子園は“私高公低”ですが、寄付金についてはむしろ逆。政財界にOBの多い地方の名門校、伝統校は寄付金がドンと集まり、時には“1億円超え”なんて話も聞きますが、いくら強くても新設校のカネ集めは難しく、“甲子園貧乏”になっている常連校も少なくない」
保護者たちの負担も並ではない。部費は月額7000円から1万円が相場だが、合宿や練習試合の遠征費はその都度加算される。
「毎週のように遠征に出向く強豪校の場合、負担額は年間60万~100万円というところもザラ。冬から春先に沖縄キャンプを張るセンバツ出場校も多い。沖縄遠征に15万円もかかったと嘆く親御さんもいた」(全国紙記者)
ある関東の強豪校では「修学旅行」名目でサイパン合宿が行なわれるが、もちろん費用は保護者持ちだ。甲子園出場校の宿舎も、リスクを織り込み済みで選手を受け入れている。