「安倍政権はそろそろ賞味期限を迎える」。そう言い切るのは、これまで自民党内部から安倍首相の政策・国会運営・人事に警鐘を鳴らし続けてきた村上誠一郎・元行革相。当選10回のベテラン議員が安倍首相に猛省を促した。
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現政権が一強となれたのは、安倍首相が聡明だったからではない。最大の要因は、1996年に「小選挙区比例代表並立制」が導入されたことだ。
これは当時権勢を誇った小沢一郎氏が、自分が首相になった時にどのように党内を掌握するかを考え抜いて作った制度である。執行部が政党助成金と公認権と比例の順位を握り、議員を掌握するようになった。
さらに執行部の権限を強くしたのが2005年の郵政選挙だ。当時の小泉首相が自分の政策に従わない議員に刺客候補を送った選挙である。
多くの議員は、小選挙区制と郵政選挙がトラウマとなり、党執行部の言うことを聞かないと公認されず人事で冷遇されるため、執行部に従属するようになった。
かつての中選挙区制や派閥政治は悪い面ばかりが強調されるが、新人の発掘や教育ができる利点もあった。中選挙区時代、我々は朝の部会で諸先輩の議論を聞いて政策を勉強した。地元で5~10人規模の座談会を1000回以上行い、有権者が何に関心があるかを聞きながら国政報告をした。