どことなく、ふたりは重なる。連続テレビ小説『ひよっこ』のヒロイン・谷田部みね子と、演じる有村架純(24)のふたりに、そんな印象を抱いた。いつも心の中で父へ語りかけていたみね子と同様、有村も家族や郷土への愛に満ちている。
「どんな時も一番の心の支えは地元で待っている母。この先もしも、“この人と結婚したい!”と熱烈に想う人が現われても、根本にあるのはずっと家族なのかなと思います。地元の親友も励まし合う大切な存在です。彼女は向上心や責任感が強くて、限界になってようやくしんどいと気付くほどの頑張りやさん。まっすぐな子で、私も頑張らないとなってパワーが湧くんです」(有村。以下「」内同)
自慢の親友を語り出すと、声のトーンも上がって快活な口調になる。その姿はまるで、あかね荘で茨城産ネギの魅力を興奮ぎみに語っていたみね子のよう。劇中では郷土愛、恋愛、仕事愛など様々な愛が描かれる。ではいまの有村なら愛ときいて何が浮かぶか尋ねると、真っ先に現場への愛を挙げた。聞けば、できるだけ現場にいたいと、休憩時間も楽屋へは戻らないという。
「チームの一員として、皆さんと同じ空間で同じ空気を共有したい。しゃべらなくても、ただ一緒にいるだけで何か違う気がするんです。現場によって過ごし方も変わっていきますが、この『ひよっこ』ではそうしています。スケジュールが詰まって、正直“疲れたな”という時もあります。放送開始直後は心配で食欲も落ち、眠れない夜が続いたこともありました。でもキャストやスタッフの方々を尊敬しているからこそ、自分も同じ熱量を現場へ注ぎ続けたいと、踏ん張れているんだと思いますね」