近視治療として約25年前に、日本に導入されたレーシック。角膜をレーザーで削り、その形状を変えることで屈折を変化させ、近視や乱視を矯正する。導入後はブームとなり、一時不慣れな医師による不適切な治療で合併症が起こるなど、問題となった。しかし近年、治療機器が飛躍的に進化し、経験を積んだ医師が行なうことで、モダンレーシックとして、その高い効果と安全性が再評価されている。
レーシックは、まずフェムトセカンドレーザーによる超短時間(フェムト秒=1000兆分の1秒)でプラズマ爆発を起こし、熱を発生させずに照射できるレーザーでフラップ(蓋)を作る。続いてフラップをめくり、下にある角膜実質層を露出させ、エキシマレーザーを照射して屈折を変化させ、最後にフラップを戻す。
南青山アイクリニック東京(東京都港区)の戸田郁子院長に話を聞いた。
「レーシックは、軽度から中等度の近視に対する安全で、有効な矯正治療です。治療後数時間で1.0程度の視力回復が実感できます。しかし、フラップを作る際に、角膜の神経線維を切断するため、一時的にドライアイになることがあります。また非常に稀ですが、フラップがあると万が一目に衝撃を受けた際、しわが寄るなどの障害が起こることがあります」
これらレーシックのデメリットを改善するため、ドイツを中心に開発が進められたのが、リレックス・スマイルだ。フェムトセカンドレーザーを照射し、あらかじめ角膜の内側にシート状のレンチクル(近視の度数に合わせた厚さの切片)を作り、約4ミリ以下のごく小さな切れ目からレンチクルを抜き取ることで、角膜の形状を変化させて屈折を調整する。
基本原理はレーシックと同様だ。手術時間も約10分とレーシックとほぼ同じ。フラップを作らないので、神経線維の切断量が少なく、ドライアイが起きにくいというメリットがある。フラップがないので衝撃にも強い。