イギリスのテレビ局『チャンネル4』が 8月6日、『Diana:In Her Own Words(ダイアナ:彼女の言葉)』と題した1時間45分のドキュメンタリー番組を放送した。そこで初めて公開されたダイアナ元妃(享年36)のインタビュー映像が話題となっている。イギリス王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんはこう明かす。
「幸せをつかめるはずと飛び込んだ王室に、誰一人として味方になってくれる人がいなかった…。彼女の孤独、寂しさ、不安がひしひしと伝わってくる内容でした」
映像はダイアナ元妃がチャールズ皇太子(68才)と別居中だった1992~1993年頃に撮影されたもので、撮影者はスピーチトレーナーを務めていたピーター・セトレン氏。テープはダイアナ元妃本人が所有していたが、1997年の彼女の死後行方不明に。ところが2001年、警察が元執事のポール・バレル氏の自宅を家宅捜索した際に偶然発見し、押収したことで存在が公になった。
その後、ダイアナ元妃の遺族とピーター氏の間で所有権をめぐって裁判が争われ、ピーター氏が勝訴。昨年、ピーター氏が『チャンネル4』にテープを売却し、今回の放送に至ったという。
◆すべてを捨ててもいいと思いました
ダイアナ元妃にとって、心のよりどころはウイリアム王子(35才)とヘンリー王子(32才)の存在だった。結婚2年目の1982年と、それから2年後の1984年に生まれた2人の息子に、母であるダイアナ元妃はあらん限りの愛情を注いだ。乳母が子育てをする王室の伝統にとらわれず、自分の母乳で育てるスタイルに多くのイギリス国民が親近感を覚えた。だが、子宝に恵まれた一方で、チャールズ皇太子との間には埋められない亀裂が入っていた。
「子供を産む前でも、セックスは3週間に1回くらいだった。ヘンリーを産んだ後は完全に途絶えたわ。セックスレスだったの」(ダイアナ元妃のインタビュー映像より、以下同)
新婚当初から夫婦生活は3週間に1回、ヘンリー王子を産んで8年後に完全に関係はなくなったという。それでも表向きは夫婦仲がいいように見せなければならない。一家4人の仲むつまじさ、夫婦でときおり見せる抱擁などは、すべて見せかけのものだった。皮肉なことに、取り繕う演技だけは夫婦の息がぴったりあった。
その頃、ダイアナ元妃もまた別の男性との恋路を走ろうとしていた。それが、彼女のボディーガードを務めていたバリー・マナキー氏だった。
「今まででいちばん夢中になった中の1人について話しますね。24か25才だったころ、私は宮殿スタッフのある男性と恋に落ちました。彼は私の人生でいちばんの親友でした。すべてを捨ててもいいと思いました。(中略)彼に思いを寄せていることは、チャールズも気づいていたわ」
だがマナキー氏は、1987年に解雇されたあと、バイク事故でこの世を去った。
「(彼の死に)最大の衝撃を受けたわ。彼は殺されたのだと思う」