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【書評】歴史を遡り現代をルポして「男性自身」の秘密を解明

【書評】『日本男子♂ 余れるところ』/高橋秀実・著/双葉社/1500円+税

【評者】岩瀬達哉(ノンフィクション作家)

 男性にとって、自信の源であるとともに、大いなるコンプレックスをももたらす「男根」の秘密を、驚くほどの熱心さでもって解き明かした。著者渾身のノンフィクションである。

 多くの男性は、「日本男子の平均値(平常時)」の長さが「8.3センチ」と聞くと、つい定規を当て、その計測結果に一喜一憂してみたくなる。著者もまた計測から取材に取り掛かった。

 しかし女性にとって、大きさは、さほど意味がない。「イク」ことに貪欲な主婦やOLたちへのインタビューが、そのことを実証してくれている。彼女たちは、概して「私のためにこんなに硬く大きくなってる」という膨張率に感激しているからだ。

 行為に身をゆだねているようで、むしろ自ら「イク」というイメージを貪欲に追求しているのだという。だから、「セックスの最中に『早く終われ』と思った時」に、「『イク』と言って、相手をイカせる」こともある。

 ゲイの場合にしろ、「小さい男根に備えて毎日、肛門を締める練習をしている」と、「吸いつくようなアナル」になり、その自己啓発の努力が快楽を増大させるというから、小さくても卑下する必要などないわけだ。

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