国内

日本のマザー・テレサ「手袋でおにぎり握るのは愚の骨頂」

たくさんの栄養素がつまっているおにぎり(写真/アフロ)

 老若男女に愛される国民食であるおにぎりの起源は、弥生時代にさかのぼる。当時の地層からは米の塊が化石として出土されているが、「今のようなおにぎりの形になったのは平安時代」だと、一般社団法人おにぎり協会代表の中村祐介さんは話す。

「屯食といい、蒸したもち米を握ったちまきみたいなものが起源と記されています」

 その後、戦国時代になり、おにぎりには疲労回復のためにアミノ酸が豊富な梅干しが付けられるように。持ち歩きできる兵糧として活躍した。

『ご飯は最強の健康食』(祥伝社)の著書がある、健康増進クリニックの加藤直哉副院長は、「おにぎりにはたくさんの栄養素が詰まっている」と説明する。

「白米にはたんぱく質、ビタミンB1、B2、E、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、食物繊維と炭水化物だけではない栄養素があります。何より腹持ちがいい。食物繊維が多いので腸の中にとどまってくれます。腸管内に水分を引っ張ってくるので、便秘解消も期待できる非常に優れた食品です」

 戦国の世が去り、江戸時代になると、旅のお供の役割を持ち、東海道五十三次の藤枝(静岡県)の宿では「くちなしおにぎり」という黄色いおせんべいのような平らなおにぎりが売り出され人気を呼んだ。

 この頃には各地で特産品を使ったご当地おにぎりが作られるようになり、日本全国で愛される“国民食”になっていった。

 青森県で、おにぎりを通して、多くの人々の命と心を支えていた人がいた。青森県弘前市の岩木山のふもとの施設を『森のイスキア』と名づけ、悩みやつらい思いを抱えて訪ねて来る人たちに開放した、福祉活動家の佐藤初女さんだ。彼女は「日本のマザー・テレサ」とも呼ばれるが、そこで、心をこめた食事を用意し、共に食べ、1人1人の話に耳を傾けていた。

 訪れた人の中には、初女さんのおにぎりを食べて心が動き、自殺や離婚を思いとどまった人も少なくない。

 彼女は昨年2月1日、乳がんのために94才の生涯を閉じた。生前、「私はお米も命あるものとして1粒1粒が呼吸できるようにと思って握っているの」と話していた。また「食べるということは“命の移し替え”です。命に感謝し丁寧に食べ物と向き合うこと」と過去に本誌・女性セブンの取材でも語っている。

 どんなに心を閉ざしていた人でも、ひと口、ふた口と食べると少しずつ心の扉が開いていったという初女さんのおにぎりは、次のようにして作られる。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン