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「離島甲子園」密着 村田兆治氏が始めた島の球児たちの夏

全国の離島の中学生球児が闘う

 夏の甲子園で花咲徳栄が埼玉県勢初の日本一に輝いた翌日の8月24日、甲子園球場から南西に1300km離れた石垣島では、“もう一つの甲子園”の決勝戦が行なわれていた。

 対戦カードは宮古島アララガマボーイズVS石垣島選抜。結果は1対0で宮古島が勝利し、「離島甲子園」の2連覇を達成した。

 離島甲子園とは、プロ野球・ロッテで「マサカリ投法」を武器に活躍した村田兆治氏(67)の提唱により、野球を通じた離島間の交流や人材育成、地域振興を目的に毎年行なわれている中学生球児の野球大会である。今回は10回目となる記念大会で、佐渡島や屋久島などの離島を持つ23の自治体から、選抜チームを含む24チームが参加した。

 村田氏が離島の球児たちと初めて接したのは、引退翌年の1991年のことだ。

「新潟・粟島の親たちから、“子供たちに本物の剛速球を見せてほしい”という手紙をもらったのがきっかけでした。そこで島を訪れると、部員が全部で15人しかいなかった。対外試合はもちろん紅白戦もできない。離島の厳しい現状を知りました」(村田氏)

 村田氏はおもむろにスーツを脱いでワイシャツ姿になり、島の子供たちを打席に立たせ、全員に“本気”でボールを投げ込んだ。村田氏が振り返る。

「島の子供たちに本物の凄さを見せたかったんです。離島のようなどうしてもハンデのある環境にいると、“どうせ本土や本島には勝てない”などと言い訳をしてしまいがち。でも卑屈になってはいけない、本気でやっていれば必ずいいことがある、と伝えたかった」

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